かんかん照り
かんかん照り 甘い水
跳ねて散る 丸い玉
蛇口の上に 揺れていて
満天のきらきら 満天のきらきら
かんかん照り 甘い水
跳ねて散る 丸い玉
蛇口の上で 日が暮れて
満天のきらきら 満天のきらきら
フェンスの前にて
真昼間の十字路には
時間がうろついていて
行ったり来たり夢うつつ
あくびを噛んで覚めるとき
私は胸打つ景色を見ていたい
擦り切れるまで繰り返して
ぼやけるまで繰り返して
誰の声も聞こえない
木々はざらざら鳴る
座り込んで目を閉じる
眠り込む前うつつのなか
私は近未来の夢を見ていたい
擦り切れるまで繰り返して
ぼやけるまで繰り返して
膝
ずんぐりの雲が覆ったその上は
見たことのない黄色の世界
ハタチになったけどひまわりは育てない
風はまだ青く、雲は横たわる
水滴
はねる
とびちる
ひえる
たれる
しなる
ふやける
ちぢむ
とける
流れ止んだらさようなら
タイミング
タイミングが逃げるのを待っていたら
においは甘ったるくなっていた
幸福の象徴を失って
わたしは子音だけ発した
夕立はいつだって突然に
残り香すら消していく
甘い香りも流して
わたしはどこにゆこう
未回想
今、ここの、これは
コンクリートの焼けるにおい
蹴り上げたはずの生乾きの泥はどこに舞った
記憶の断片は身体の中で増殖していく
言葉にした後の思い出はむずがゆい
もはや気持ちは騒がない、とはいえ
今、吹いた風は
最終電車が過ぎた跡
乗り換えの駅にあるはずのない浜のにおい
厚みのある静けさが指をすり抜けた
握りしめたくなる情熱を待っている
もはや気持ちは騒がない、とはいえ
もはや気持ちは騒がない、とはいえ
純
線を描いて連なって
真っ暗になったとき
削ぎ落とされるまで見えない
薄明かりが隠れている
触れる頃には遅すぎて
真っ暗になったとき
積み重なった抜け殻が
息をのむ間に散ってゆく
ざわめき
あたまのあそび
あわれかされど
埃の雨に
わだつまる
舞っては沈む
音屑のやま
蹴り散らしつつ
黙ってる
街のざわめきに埋もれていたいのは
耳を塞いであなたの歌を思い出すため
ぽろぽろこぼす
音屑のやま
抱きしめたのは
私の身
街のざわめきに埋もれていたいのは
耳を塞いであなたの歌を思い出すため